沖縄に息づくヘリオス酒造のラム造り
今日はヘリオス酒造のラジオCMの一節をご紹介。
※現在は毎週木曜21:00放送のFM沖縄「真栄原ミュージック」内で聞くことが出来ます!

1961年。まだ戦後復興の途中にあった沖縄で、新しい挑戦が始まっていました。
それは「沖縄初の県産ラム」をつくるという、当時としては大胆で、そして夢のある試みでした。
今回はヘリオス酒造が歩んできたラム造りの物語をご紹介します。
創業者・松田正が抱いた“酒はその土地の作物でつくるべき”という想い。
そして、名護・許田の地で60年以上にわたり受け継がれてきた蒸留技術。
沖縄の自然と人が育んできたヘリオスのラムの魅力を、やさしい読みものとしてまとめました。
沖縄でラム造りが始まった理由
1961年、ひとりの情熱から始まった物語
ヘリオス酒造のラム造りは、創業者・松田正(まつだ・ただし)の強い想いから始まりました。
当時の沖縄はアメリカ統治下にあり、物資も十分ではない時代。
そんな中でも松田は、「沖縄には沖縄のお酒があるべきだ」と考えていました。
沖縄はサトウキビの豊かな産地です。
この土地で育つ作物を使って酒をつくれば、きっと沖縄にしかない味わいが生まれる。
松田はその可能性を信じ、ラム造りの道を切り開いていきます。
「酒は、その土地で穫れる作物でつくるものだ。」
この言葉こそ、ヘリオス酒造の精神“Farm to Glass”につながる原点です。
ラムと沖縄の意外な共通点
ラムといえばカリブ海のイメージがありますが、実は沖縄と共通点が多くあります。
一年を通して気温が高いこと。湿度が高いこと。
そしてサトウキビがよく育つ土壌を持つこと。
こうした条件は、ラムの発酵や熟成にとても向いているのです。
松田は、沖縄の風土がラム造りに適していると直感しました。
その読みは見事に当たり、後のヘリオスラムは国内外で評価される存在になっていきます。
ラム造りの工程とヘリオスのこだわり
サトウキビの恵みを生かす
ラムは原料によって個性が大きく変わるお酒です。
世界では大きく「トラディショナル(糖蜜由来)」と「アグリコール(搾り汁由来)」の2種類が知られていますが、沖縄ではもう一つ、“黒糖由来のラム”が登場し、注目を集めています。
黒糖は沖縄と深い関わりのある食文化のひとつ。
その力強くて優しい甘みを生かしたラムは、沖縄らしい個性が光る味わいになります。
発酵がつくり出す香りの奥行き
発酵は、ラムの香りを決める大切な工程。
沖縄は気温が高いため、酵母が活発になり、華やかでフルーティーな香りが生まれやすい環境です。
バナナやトロピカルフルーツを思わせる香りが漂うのは、沖縄の自然と酵母の働きが生み出す“贈りもの”といえるでしょう。
蒸留で磨かれる透明感
発酵で生まれた香りや旨みを引き出しつつ、雑味を丁寧に取り除いていくのが蒸留の工程です。
ヘリオス酒造では、軽やかでスムーズな口当たりになるよう、細かな調整が行われています。
沖縄特有の柔らかなニュアンスを生かしつつ、樽熟成に耐えられる酒質を整える――。
そのバランスが、ヘリオスラムの魅力のひとつです。
熟成が与える深み ― 名護・許田の熟成庫
ヘリオス酒造のラム造りに欠かせないのが、名護市許田の熟成庫です。
海からそよぐ風、湿度、温度。
これらの自然条件が、オーク樽で眠る原酒にゆっくりと個性を与えていきます。
沖縄の熟成は「トロピカルエイジング」と呼ばれ、樽が呼吸しやすく、熟成の進みが早いという特徴があります。
短い期間でも深い味わいが生まれる一方、長期熟成を行うには繊細な管理が必要です。
その結果生まれたのが、国内でも珍しい「21年熟成ラム」。
長い年月をかけて育てた一本は、豊かな香りと奥行きを持つ希少なラムとして、多くのファンを魅了しています。
泡盛・ビール・ウイスキーへと広がる技術
泡盛の蒸留文化が支えるラム造り
沖縄の伝統酒・泡盛の技術は、ヘリオスのラム造りにも通じています。
麹、発酵、蒸留、そして熟成。
酒づくりの根本となる工程は共通点が多く、技術はお互いに影響し合ってきました。
樽熟成泡盛「くら」は、その象徴とも言える存在です。
ラムで磨かれた樽管理の技術が、泡盛の新しい魅力を引き出しています。
ビール造りに生かされる“畑からグラスへ”の精神
ヘリオス酒造はクラフトビールにも早くから取り組み、原料の個性を大切にする姿勢はラム造りと共通しています。
名護の自然が生み出す水や、沖縄の食文化に寄り添う味わいを表現するため、日々研究が続けられています。
ウイスキーへの挑戦
ウイスキーづくりにも積極的に取り組むヘリオス酒造。
ラムや泡盛で培った熟成技術は、ウイスキーの味わいにも深く影響しています。
樽と向き合い続けてきた60年の経験が、より豊かなスピリッツづくりへつながっているのです。
沖縄の黒糖文化とラムの未来
黒糖ラムという新しいスタイル
沖縄の黒糖は、島々の風土によって味わいや香りが変わる個性豊かな食材です。
その黒糖を使ったラムは、沖縄ならではの魅力を持ち、国内外でも注目を集めています。
ヘリオス酒造では黒糖の香りをやさしく引き出しながら、キレのある飲み心地に仕上げるための研究が続けられています。
古酒蔵ショップで楽しむ熟成ラム
名護蒸溜所の古酒蔵ショップでは、貴重な熟成ラムを試飲することができます。
なかでも21年熟成ラムは、長い時をかけて育てられた特別な一本です。
「まずは試飲から、ぜひお楽しみください。」
ラジオCMで語られるこの言葉には、造り手の想いが込められています。
Farm to Glass ― 畑からグラスへ
地域の農業とともに
ヘリオス酒造は、酒づくりを畑から始まるものと考えています。
サトウキビ、麦、果実。
沖縄の農家が育てる作物を大切にし、その魅力を引き出すお酒をつくること。
それが「Farm to Glass」という言葉に込められた想いです。
沖縄の風土をそのまま一杯に
沖縄の気候や文化は、ラムの味わいにも大きく影響します。
ミネラル豊かな海風、強い日差し、ゆっくり流れる時間。
それらはすべて、ラムの香りや余韻にふんわりと表れます。
手間を惜しまない蒸留所の姿勢
樽の状態を確かめ、温度や湿度の変化に寄り添い、原料の個性を丁寧に引き出す。
どれも地道な作業ですが、一つひとつの積み重ねが“沖縄のラム”の奥行きをつくり出します。
世界へ広がる沖縄ラムの可能性
国際的に評価される熟成ラム
世界ではクラフトスピリッツの人気が高まり、ラムもプレミアム志向へと変化しています。
その中で、ヘリオス酒造の長期熟成ラムは大きな強みとなっています。
沖縄の風土が育てた熟成感は、国内外のバーテンダーやラム愛好家からも注目が集まっています。
観光とつながる蒸溜所の魅力
名護・許田の蒸溜所は、お酒づくりの“現場の空気”を感じられる場所です。
樽の香りや蒸留機の迫力は、訪れた人に特別な体験を与えてくれます。
酒づくりの背景に触れることで、一本のラムがより身近な存在になります。
まとめ ― 沖縄が育てたラムの物語
「酒はその土地で穫れる作物でつくる」
この創業者の言葉から始まったヘリオス酒造のラム造りは、60年以上の時を重ねながら今も進化を続けています。
名護の蒸溜所で静かに眠るオーク樽。
黒糖が生み出すやさしい甘さ。
