11月1日は「泡盛の日」──沖縄の伝統と革新が香る日
毎年11月1日は「泡盛の日」。この記念日は、沖縄が誇る伝統的な蒸留酒「泡盛」に感謝し、広くその魅力を伝えるために、1989年(平成元年)に沖縄県酒造組合連合会によって制定されました。本コラムでは、泡盛の歴史や製法、そしてヘリオス酒造が泡盛にもたらした革新について、1万文字にわたりご紹介します。

泡盛とは何か?──琉球王国から続く蒸留文化
琉球王国時代からの伝統
泡盛は、15世紀頃に琉球王国で誕生した日本最古の蒸留酒といわれています。当時、王府は酒造りを首里三箇(赤田・崎山・鳥堀)のみに限定し、徹底した管理のもとで製造を行っていました。泡盛造りに最適な水源を持つこの地域では、王府直属の酒造技術者が厳格な製造基準を守っていたのです。
泡盛と焼酎の違い
多くの方が混同しがちな泡盛と焼酎ですが、実は製法・原料・麹・貯蔵方法に大きな違いがあります。泡盛は「タイ米(インディカ米)」を原料にし、黒麹菌を使用した全麹仕込みで、単式蒸留器で蒸留後に貯蔵・熟成させます。一方、焼酎は白麹や黄麹を使うことが多く、原料の多様性も特徴です。
なぜ11月1日が泡盛の日?
泡盛の日が11月1日と定められたのは、「新酒」の季節であることが理由です。泡盛は製造から半年から1年ほど寝かせることで角が取れ、まろやかになります。ちょうど11月ごろには新たな泡盛が飲み頃となり、酒造所でも出荷のピークを迎えます。
また、日本全国が「新酒シーズン」を迎える11月に、沖縄独自の文化である泡盛を広くアピールする狙いもあります。毎年この時期になると、各地の泡盛ファンが集まるイベントやキャンペーンが開催され、ますます泡盛の存在感が高まっています。
沖縄に46ある泡盛酒造所──その一角を担うヘリオス酒造

ラムから始まった、ヘリオスの酒造り
ヘリオス酒造は、1961年にラム酒製造からスタートした異色の酒造所です。沖縄県内でも珍しく、蒸留酒を軸とした多彩な酒造りに取り組んでおり、泡盛・ウイスキー・リキュール・スピリッツなどを製造しています。
ラム造りで培った「樽熟成」へのこだわりが、泡盛製造においても大きな武器となりました。一般的に泡盛は甕(かめ)やタンクで熟成されますが、ヘリオス酒造はその泡盛を洋酒に使われる樫樽で貯蔵。まろやかで芳醇な香りを持つ泡盛へと昇華させました。
「三年古酒くら」──伝統と革新の結晶
ヘリオスの泡盛を語る上で欠かせないのが、「三年古酒くら」です。樫樽で3年熟成されたこの泡盛は、甘い香りとまろやかな口当たりが特徴。ストレートやロック、水割りでも楽しめますが、ヘリオスではカクテルベースとしても提案しています。
泡盛=和の蒸留酒という枠にとどまらず、洋の技術や飲み方と融合させることで、より自由で革新的な泡盛文化を発信しているのが「くら」シリーズの魅力です。
泡盛の楽しみ方いろいろ──テイスティングからペアリングまで
古酒(クース)とは?
泡盛は、3年以上熟成させると「古酒(クース)」と呼ばれます。年数が増すごとに香りと味わいが複雑になり、琥珀色に染まった見た目もまた魅力の一つです。ヘリオス酒造では、3年・5年・8年・12年・18年などの古酒を製造しており、それぞれ熟成の妙を楽しむことができます。
古酒蔵ショップでの試飲体験
那覇市の「古酒蔵ショップ」では、無料・有料のテイスティングが可能です。「三年古酒くら」のほか、「くらブラック」や「くら原酒」などの貴重な泡盛も提供。熟成年数の違いや貯蔵方法の違いによる味わいの変化を、実際に飲み比べながら体感できます。
「泡盛の日」をもっと楽しむために──イベントとお土産
泡盛の日には、各地で試飲イベントや限定商品販売が行われます。ヘリオス酒造でも、この時期にしか手に入らない「限定古酒」や、オリジナルラベルの泡盛が登場することも。お土産として人気のあるミニボトルセットや、泡盛と相性抜群の沖縄の塩なども販売されています。
泡盛は世界に誇るスピリッツ
泡盛は、単なる地酒ではありません。世界でも注目される蒸留酒として、国際的な酒類コンペティションでも高い評価を受けています。特にヘリオス酒造の泡盛は、洋酒文化と融合した独自性が際立っており、インバウンド観光客にも好評です。
まとめ──11月1日は泡盛の魅力を再発見する日
「泡盛の日」は、沖縄の伝統、そして泡盛文化の未来をつなぐ記念日です。ヘリオス酒造は、その中でも独自のアプローチで泡盛の可能性を切り拓いてきました。
ぜひこの機会に、泡盛の奥深さとヘリオスの革新性に触れてみてください。ロックでじっくり味わうもよし、炭酸で割って食中酒として楽しむもよし、カクテルにして創作の世界を広げるのもまた粋な楽しみ方です。
古酒蔵ショップでは、スタッフによる泡盛の魅力紹介や、おすすめの飲み方提案も行っています。11月1日は「泡盛の日」、新しい泡盛の魅力と出会う絶好のタイミングです。
